公正取引委員会が医療機器卸最大手のムトウ(札幌)など三社に独占禁止法に基づく排除措置命令を出した医療機器談合事件で、ムトウが不服申し立て手続きである審判請求を断念する方針を固めたことが十日、明らかになった。長期化が予想される係争に労力を割くことは、マイナス面が大きいと判断した。
竹山(同)とサイメン(同)も同様の理由で審判請求を見送る方針で、医療機器発注の実態をめぐり主張が対立していた事件は収束する見通しとなった。
談合と認定されたのは北大病院が発注した入札九件で、二月中旬に排除措置命令を受けたムトウは「事実誤認がある」として審判請求を検討していた。
だが、公取委が審判する同請求では、申し立て側の被審人の主張が認められるケースはほとんどないとされる。請求が棄却された場合、東京高裁に提訴することも可能だが、係争に資金と労力を傾けるのは得策ではないと判断した。
三社が審判請求見送りの方針を固めたことで、排除措置命令は請求期限が切れる十六日に確定する見通し。ムトウは「請求断念は残念だが、法令順守をさらに徹底し、早期の信頼回復に努めたい」としている。
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